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PhDの価値 / 留学生とお金

留学 研究

日本でポスドク問題などと言われるようになって久しいけれど、Natureなどの学術雑誌でも、「PhDを取っても仕事が見つからないかもしれない」という論調のコラムが載ったりする。

例えば

Fix the PhD

No longer a guaranteed ticket to an academic career, the PhD system needs a serious rethink.

Nature 472 , 259-260 ( )

世界中どこでも、余剰PhD問題というのはあるようだ。 

そんな中、このガーディアン紙の特集、"The self-funded PhD"ってかなりドキッとするタイトルだ。 

The self-funded PhD

PhD students share their experiences of what it's like to fund their own research

http://www.theguardian.com/higher-education-network/series/the-self-funded-phd

これは、「自分自身でPhDの費用を払いながら、学位を得た人たちの体験記」シリーズだ。PhDを取るために、自分で費用を払ってまで大学院に入学するのが本当に得策なのか考えてほしい、もしそうしたいならどんなやり方があるのか、ほかの学生たちがどbんな理由でPhDを(自分で費用を払って)取ったのかを紹介しようという趣旨だ。

このNatureの記事とガーディアンの記事は、ターゲットとしている層がまったく違うので比較はできないけれど、PhDとは何なのか、PhDコースに行くことが自分のキャリア・人生にとって必要か、迷っている人がいれば考える上で参考になると思う。

PhD/研究者の利点かなと私が思うことの一つは、ビザの心配をする必要がなくなることだ。
ロンドンに住んでいると、ビザがなくなるから日本に帰らなければいけないという人はとても多い。日系の会社でも、日本人に対して労働ビザを出せない(払わなければいけない税金が高くなるらしい)という会社は多く、ワーキングホリデーなどで働けるビザを持った人を雇い、ビザの期限が切れるところでほかの人を探す、というやり方をしているようだ。その点、研究職ならば、ビザは大学・研究機関側が用意してくれるので、ビザがないから働けないということはない。とにかく将来は海外で働きたい、と思っている高校生などは、研究者というのを考えてみるのも良い選択肢だろうと思う。そんなはっきりしない理由で、厳しい研究の道など続けられないだろう、と思う人もいるかもしれないけれど、職業選択の理由などはっきりしている人の方が少ないだろうし、能力や運が悪ければ自然と淘汰される部分もあるので、研究者を目指す最初の動機の部分は何でもいいんじゃないかと私は思っている。

 

話は少し変わって。

PhDの学生は研究者と見なされる(イメージとしては美容師見習いや、新卒入社の新入社員のような感じ?)ので、給与やファンディングを持っている人が多いし、これが前提になっている。Nature誌の特集で扱われているScience/Engineeringの分野においてはこれが一般的(特にアメリカ)であるし、ガーディアン誌の特集においても、もしPhD取得の費用を自分で払うなら...という言われ方をしている。日本においても、研究分野にもよるが、学振特別研究員制度や、RAなどで給与を得ている人もけっこういるはずだ。

ただ、もしこれからイギリスの大学院で博士号を取りたいと思っている人がいるなら、お金をどうやって調達するかは、あらかじめ考えておくべきだろう。

いわゆる理系(Science, ただしSocial scienceはどちらかといえば文系寄りに入る)の学科の場合、奨学金を得るのチャンスは多い。ただ、文系の場合は、ファンディングを得るのは難しいことが多い。ガーディアンの記事のインタビューに答えている人は、ほとんどが人文系の科目を勉強している。日本でもそうだろうけれども、人文系の研究をする場合、給与を得るのが一般的に難しい。実際、ロンドンの大学で、人文系のPhDコースに入った場合、Self-funded studentというのは全く珍しくない(例え、LSEなどのいわゆる一流大学であっても)。特にNon-EU student / Overseaと呼ばれるカテゴリに入る日本人の場合、奨学金を得る機会自体が少ないし、授業料が高くなるのでギャップを埋めるためのお金が必要になるのでなおさらだろう。文系科目で留学したいという場合、企業派遣や、日本人を対象とした奨学金を日本で勝ち得た上でイギリスにくるのが得策だと思う。

 

理系大学院留学―アメリカで実現する研究者への道 (留学応援シリーズ)

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