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留学するのには奨学金が必要だ

留学準備 つれづれ 留学

先日、イギリス市内の大学院に、Master(修士号)を取るために留学している子と話していて、イギリスの大学はnon-EUの学生にとっては本当に高い、という話になった。

 

イギリスの大学はどれくらい高いのか?例えば、ロンドンにある一流大学である、Imperial Collegeに留学した場合。Faculty of Natural Sciencesの修士号のコースは、Non-EUの学生(日本やアジア、アメリカからの留学生)の場合、1年間で£18,000(282万円!)かかる。学科によって値段は変わるけれども、だいたいこれくらいが「相場」ということになる。

 

日本をはじめとしたNon-EUの学生が留学したいとなったとき、一番ネックになるのがお金の問題なのだ。ヨーロッパ出身の学生の場合、ローンや奨学金をもらって学費をまかなうことになる。彼らの授業料は日本の大学並みだし(高々100万円程度、これでも「高い」と皆文句を言っているけれども)、何より、ヨーロッパの学生がイギリスで留学するために利用できる奨学金はたくさんある。自然科学でPhDコース(博士課程)に入る場合、授業料と生活費を奨学金として支給される場合が多いけれども、これらの奨学金つきのコースも、出願資格に「EU出身であること」という制限がつく場合が多い。

同じくらい優秀な学生がいた場合、アジアからの留学生よりも、EU出身の学生の方が奨学金をとれる確率が断然高い。ある意味仕方がないのかもしれないけれども、なんだかやるせなさを感じてしまう。(ちなみに、このNon-EU学生に対するハンデのようなものは、アメリカでも多少はある。外国人の方が、アメリカ人の学生と比較すると、アメリカの大学に入るのが難しくなるようだ。それでも、その差はイギリスほどではないと思う。また、アメリカの大学は、卒業生の寄付金を見込んで、優秀な学生に出す奨学金が多くあるそうだ。)

自腹を切ったりローンを利用して留学すればいい、と思われるかもしれないけれども、自然科学分野のPhDで留学する場合、奨学金をとれなかった学生は、指導してくれる教授を見つけるのに苦労すると思う。みんなが一緒に働きたいと思うような教授のところには、たくさんの学生が殺到しがちだ。教授が学生に割ける資源には限りがあるから、見込みのある学生しか指導を受け入れない。自費で来ている、ということは、奨学金がとれなかった学生ということで、奨学金をもらっている学生よりは受け入れ優先度が低くなってしまう、というのも事実なのだ。

 

最近、ニュースサイトなどを見ていると、留学熱のようなものが高まっているのを感じる。日本人で留学する人を増やすための最善の策は、もうこれを言っては身も蓋もないのかもしれないけども、「日本人の留学希望者に奨学金を出す」だろう。日本政府は、留学したいという人たちに対して、お金を払って支援してあげる必要などないのかもしれない。日本の大学の教育水準は高いから、たいていの人にとっては、留学しなくても十分な教育が受けられる。また、留学を支援しても、その学生は一生日本に帰ってくることなどなく、海外に永住してしまうかもしれないが、そういう場合でも、日本政府が税金を使って、留学生を支援することを正当化する必要があるのかと言われると、ほかに優先順位の高い、税金を使ってすべきことがあるかもしれない。

お金に余裕があったり、本当に狭き門をくぐり抜けて奨学金を勝ち取れる学生だけが留学すればいい、という意見に一理あるのは間違いない。その一方で、将来、研究者として活躍したり、各国のトップクラスの人材と渡り合うためには、留学経験は必ず役に立つ。江戸末期にUCLに留学してきた5人の「サムライ」たちは、留学中に見聞を広め、その後明治維新で活躍した - 伊藤博文や井上馨といえば、誰もが知ってる名前だろう。留学経験は、将来活躍するために必要条件でも十分条件でもない。それでも、留学経験がある人たちの方が、ない人たちに比べて、将来の業績が良くなりがちだというのは間違いないと思う。

また、確かに、留学後海外に居着いてしまって、日本に帰って恩返し奉公をしない人もいるだろう。それでも、海外に活躍している日本人がいるというのは、同じ日本人同士として、嬉しいと思ってもらえるかもしれないし、何より、日本と世界各国のコネクションを作るとき、力になれることがあるかもしれない。そういう意味では、直接日本にお金を落とさなくても、海外在住日本人が日本に貢献しているということはあると思う(逆に、そういう人たちをうまく使える仕組みがあるといいと思う)。

 

研究留学したい人は、アメリカ留学向けだけれど、この本が本当に参考になるので、目を通してみてほしい。また、研究者がいったいどんなことをしているのか知りたいという人や、子供が留学したいと言っているという親御さんにも読んでみてほしい。

理系大学院留学―アメリカで実現する研究者への道 (留学応援シリーズ)

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