どうやったら論文を書けるのか?(その2)

どうやったら論文を書けるのか?第二弾。 

fuyomilk.hatenablog.com

 

研究は進んでいるけれども、書かなきゃいけない論文が溜まっている、という状況は、けっこうありがちなのではないかと思う。 

共同研究者に「あれどうなった?」と聞かれて、まだ進んでなくて……と、正直に告白する時、とてもばつが悪い。メールが来ると、申し訳ない気持ちになる。

「最近なにしているの?」と同業者に聞かれる時、ひょっとして、「こいつ論文出てないけど、ちゃんと仕事してるのか?」って思われてたらどうしようとビクビクする。

論文を書かないことによる罪悪感は、「やるべきことをやっていない(書かなきゃいけないのは知ってる)ことに対する罪悪感」「いろいろ助けてくれた共同研究者に対して、自分がさぼっているせいで、論文という成果にしていない罪悪感」 という2つだな、と自分なりに分析している。

論文さえ書ければこんな思いしなくて済むのに……とわかっているのに、なかなか進められない。いろいろ自分の行動を分析してみるものの、一向にすすまない。

 

……という状態に陥っていたので、この本を買ってみた。

なぜあなたは論文が書けないのか?

なぜあなたは論文が書けないのか?

 

「禁煙本」に近いのかな?という印象。 父のタバコをやめさせようと、母が禁煙本を買ってきたことがあり、中身を見たことがある。「タバコを吸うのが本当に必要なのか、その意味を問う」という感じで話が進んでいく。この本も、「論文をなぜ書かなければいけないのか?」という問いかけから始まり、論文がかけない理由を一つ一つ潰していく、という感じ。テクニックというよりも、精神論?というか、論文を生産する仕組みづくりの説明をしてくれるという感じ。

本に説明されていた中で、自分でも取り入れるべき重要な心がけとしては、

  • 論文を書くモチベーションを再認識し、書くという強い意識を持つ
  • 書くことを習慣化する(3日に1度は論文ファイルを開く)
  • 完璧を目指さない

という感じかなと思う。

この本は研究も臨床もやらないといけない、医学系の学生・研究者を対象に書かれているが、他の分野の人でもオススメ。

 

一方で、こちらの本はいまいち。著者が商売上手なのか、上の本とセットで読んでね!ということで買ってしまったが、研究をやっている人(特に、いろいろなラボに在籍している人)にとっては当たり前の内容が書かれてる。逆に、学生や、一つのラボにずっといる人には、新鮮な情報もあるかも?または、シニア研究者が、若い人の気持ちや考え方を知るのにはいいのかもしれない。

なぜあなたの研究は進まないのか?

なぜあなたの研究は進まないのか?

 

 

オープンアクセスとその費用のポリシー

オープンアクセスについて、ゴールドオープンアクセス時にかかる費用をどのように負担するべきか調査した。

オープンアクセスの基礎知識

オープンアクセスには、大きく分けて二種類ある。

グリーンオープンアクセス:セルフアーカイビング。embargo期間を経て機関リポジトリなどに登録することで、誰でも論文が読めるようにする。

ゴールドオープンアクセス:論文公開直後から誰でも読める形で論文を公開する。論文の出版費用は著者が負担することになる。

wikipediaより:

One way is to publish it and then self-archive it in a repository where it can be accessed for free,[6][7] such as their institutional repository,[8][9] or a central repository such as PubMed Central. This is known as 'green' open access. Some publishers require delays, or an embargo, on when a research output in a repository may be made open access.[10] Several initiatives provide an alternative to the American and English language dominance of existing publication indexing systems, including Index Copernicus, SciELO and Redalyc.

A second way authors can make their work open access is by publishing it in such a way that makes their research output immediately available from the publisher.[11] This is known as 'gold' open access,[12] and within the sciences this often takes the form of publishing an article in either an open access journal,[13] or a hybrid open access journal. The latter is a journal whose business model is at least partially based on subscriptions, and only provide Gold open access for those individual articles for which their authors (or their author's institution or funder) pay a specific fee for publication, often referred to as an article processing charge.[14] Pure open access journals do not charge subscription fees, and may have one of a variety of business models. Many, however, do charge an article processing fee.

グリーンオープンアクセスは費用はかからないが、embargoが半年〜1年間設けられることがおおく、最新の論文を読むためには結局雑誌講読料(これが高騰し、大学関係者は困っている)を負担しなければならない。査読前のpreprintのセルフアーカイビングは、多くのジャーナルで認められているものの、最終盤ではないのであまり意味がないと私は思う。

オープンアクセスの費用

そういうわけで、ゴールドオープンアクセスにしたいのだが、これはこれで非常に高額。例えばNature communications(オープンアクセスジャーナル、インパクトファクターは10前後の一流誌)の投稿料は以下のとおり。

www.nature.com

£3,150 (UK and rest of world)
$5,200 (The Americas)
€3,700 (Europe)
¥661,500 (Japan)
RMB33,100 (China)

Plos系はもう少し安くて$1,495から。eLifeもついにpublication fee($2,500)を課すことになった。

elifesciences.org

他の一流誌よりは安いでしょ、ということらしいが。しかしこのレポートはよくまとまっているな。

オープンアクセスの義務化

ERC, Marie Curie, Wellcome Trustなどのヨーロッパ勢, NIHやHoward Hughesなどのアメリカの研究費助成団体は、オープンアクセスを義務化している。オープンアクセスは論文の出版から6ヶ月以内に行うことなど、グリーンオープンアクセスでもOKということになっている。

NIH系はpubmed centralに論文をアーカイブする。NIH funded researchersは、アクセプトされた稿を著者ホームページにアップロードするのもOK.

このあたりの事情がわかりやすくまとまっているのはElsevierのページではないかと思う。

Agreements

でもやっぱり6ヶ月経たないと読めないとなると、論文が最も注目を集めるプレスリリース時に一般の人は読めないことになってしまうので、市民への還元という意味ではやはり弱いのではないかと思う。

オープンアクセスの費用は誰が払うのか

ゴールドオープンアクセスにした時、その費用は誰が払うべきなのだろうか。だいたい著者が払う場合・大学など研究機関が払う場合・funding body(研究費助成団体)が払う場合の3つがあり得る。

著者が払う場合

研究費などから支払う。私が知る限り、「オープンアクセスのための費用は出せない」という研究費は日本にはないのではないかと思う。海外でも特に聞いたことはない。

大学が払う場合

大学によっては、オープンアクセスジャーナルと一括契約していて、XX大学から該当ジャーナルに出版される論文は、追加コストなしでOK、という場合がある。この場合は大学が払った、という解釈でいいと思う。

大学によっては、教職員がオープンアクセス雑誌に論文を載せる場合、費用を一部負担するという助成金の一種が用意されていることもある。

Funding bodyが払う場合

Funding bodyがオープンアクセスを推進している以上、費用も一部負担すべきでは?ということで、ゴールドオープンアクセスの費用を負担したり、グリーンオープンアクセスに関して有利な条件を出版社と結んだりしている。

ゴールドオープンアクセス時に発生する費用について、funding bodyが(申請しているグラントの枠外で)コストを負担してくれるのは以下のとおり。

  • Arthritis Research UK(著者が払えない場合)
  • Bill & Melinda Gates Foundation
  • Bloodwise(ただし例外的な扱い。大学などに所属していない場合)
  • British Heart Foundation
  • The Chief Scientist Office(上限あり)
  • Department of Health UK and the UK National Institute for Health Research (NIHR)(例外的な扱いとして申請可能)
  • Dunhill Medical Trust (DMT)(グラントの額によって使える額が違うが、オープンアクセス用の費用を別途申請可能)
  • Motor Neurone Disease Association
  • Parkinson's UK
  • Research Councils UK(Prepaid planを特定の大学に提供)
  • Telethon
  • UNU-WIDER
  • VSNU(特定のジャーナルのゴールドオープンアクセス費用をオランダの大学が払う)
  • Wellcome Trust
  • Worldwide Cancer Research(1本につき最大£2,000まで)

案外費用の一部でも負担してくれるところは多い。これは Elsevierに載ってるものを拾っただけなので、探せばもっとあるかも。グラント申請時にオープンアクセス費用を計上するようにというところもあるが、論文はいつ出るかわからないので、論文出した時に申請、というフレキシブルな運用の方がありがたい。

ビッチという言葉について

たまに思うのだが、「ビッチ」という言葉が不特定多数の男性と肉体関係を持つ女性、という意味で使われているが、これはすごく違和感がある。おそらく、bitchを日本語に言い換えると、「嫌な女」「クソババア」みたいな意味になると思う。

不特定多数の男性と寝る女は、よくSlutとか、もっときつい言葉だとWhoreとか言われる(体を売る女という意味でも使われるが、売春婦とはっきり言いたい時はprostituteと言い, whoreはどっちかというと罵り言葉の気がする)。

もちろん、bitchという時には、いろんな男と付き合う女という意味がある時もある。でもそれはあくまで「嫌な女」の一要素だ。だから、夫(やそれに近い人)が、浮気した妻をbitchと罵ることはできるかも(でも関係修復は遠ざかる)しれないが、それは「他の男と寝たこと=浮気したこと」が嫌な女の一要素になっているにすぎない。逆に、男性が女性に声をかけてつれなくされた時、男性が女性をbitchと罵って去っていくこともある。「自分の要求に応じない」というのが感じ悪い、嫌な女というわけだ。

とはいえbitchと呼ばれるのは有名税かもしれない。例えばだけれど、ベッキーのことをbitchと罵る人もいると思う。不倫したこと自体が問題というよりも不倫してしおらしく反省したように見せておいて、裏では関係継続なんて面の皮が厚いわ……という意味で、bitch感がある。まあ人の感じ方はそれぞれなので、一概には言えないのだが。
キム・カーダシアンはいわゆるプライベートビデオ流出事件とか、有名になるためにはなんでも利用するというイメージで女性にかなり嫌われていて、嫌な女・いかすけない女という意味でのbitchとして嫌われ女ランキング常連だ。
テイラー・スウィフトも、昔の彼氏をネタに歌を書き続けるところにbitch感があるという人もいる(元彼氏たちにしてみれば、ネタにされるのは嬉しいこととも限らないから)。
女性で嫌な感じがすると、なぜかbitchと呼ばれてしまうのは少しかわいそうでもある。この手のやることなすこといろいろにケチをつけられ悪口言われるポジションの男性というと、ジャスティン・ビーバーとか三代目J-soul brothersとかしか思いつかない。

面白いことに、bitchの嫌な女=女のくせに強い=自立してかっこいい、と一周回って良いイメージとして捉え、bitchと(半分自虐的でもありつつ)良い意味で使うこともある。この辺になるともうよくわからないのだが、呼びかけというか、別に意味を込めずにbitchと呼ぶこともある(が、使いどころが難しいので、使うのはおすすめしない)。

 例えばこの本。Skinny Bitchというタイトル。

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この本の内容はさておき……という感じ。

とはいえ、Bossy廃止運動(偉そうな女性のことをBossyという形容詞で呼んで萎縮させるのはやめようという運動)もあることだし、もしかしたらbitchという言葉も男女平等的な観点から死語と化す可能性もあると思う。単なる言葉狩りと思う人もいるかもしれないが、言葉のパワーは強い。

翻って、日本のビッチという言葉の意味はどこから来たんだろうか。何か有名な漫画か何かで使われたのがはしりなのか。とてもきになる。

ちなみにbitchは男性に向かって使うこともできる。弱々しいとか、偉い人にヘコヘコしたりするやつがいたらbitchな感じがする。イメージとしては、秘密警察みたいに偉い人のためにコソコソ嗅ぎ回ってるやつがいたら、そいつは「政府のbitch」という感じ。